最高裁判所第一小法廷 昭和23年(れ)624号 判決 1948年10月07日
主文
本件上告を棄却する。
理由
被告人辯護人本間大吉上告趣意について。
前に行われた訴訟行為が不法であるからと言って、その後に行われた別個の適法行為の効力までを常に當然無効なりと為し得ないのは言うまでもないことである。されば、いわゆる任意同行なるものが假りに所論のごとく憲法の禁ずるところであるとしても、爾後正當な手續で行われた勾留を目して所論のごとく不當に人身を拘束したものと斷ずることはできない。そして本件勾留が適法な手續で行われたものであることは記録上明白なところであって、上告人においてもこれを争わないのであるから、所論の理由による不當勾留を前提とする本論旨は、既にこの點において理由なきものといわねばならぬ。
よって刑訴第四四六條に則り主文のとおり判決する。
この判決は裁判官全員の一致した意見である。
(裁判長裁判官 齋藤悠輔 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野毅 裁判官 岩松三郎)